後醍醐天皇
Emperor Go-Daigo

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作家名
後醍醐天皇ごだいごてんのう
作品名
宸翰
作品詳細
掛け軸 紙本水墨 金襴緞子裂 象牙軸 合箱
  南紀徳川家旧蔵 続呉文炳蒐集手蹟目録所収 本紙寸法44.2×28.5
全体寸法(胴幅)53.3×110.5㎝
註釈

後醍醐天皇宸翰
後醍醐天皇假名書の御消息は南紀徳川家舊藏で、その軸額部類第五號に入れられてあつたものである。消息文の内容は大體花園天皇あての御禮状を認められたものであるといはれてゐる。
この御消息は恐らく後醍醐天皇の御宸翰と考へられるが、現代の學問的方法によつてこれを天皇の宸筆と確認するまでの資料がない以上間違ないと斷定することは勿論現状では至難のことゝ云はねばなるまい。たゞしかし消息文のかゝれてある料紙の紙質の時代や筆蹟の調子など、いづれも南北朝時代の特異性を持つ代表的なものである。とりわけこの假名書のちらしがきでこれだけにのび(のび)とした、しかも氣魄のこもつた書風は後醍醐天皇の御筆蹟と考へて差支へないと思ふ。所謂宸翰様とよぶ天皇の御書風の典型的なものとさへ感ぜられるものである。消息の内容は左に記すやうなものであるが、備考として文中「身」づからは主上のほか用ひない文句であるといふことである。
京都大學名譽教授中村直勝博士の讀解は次の通りである。
昨日色々の物給り返す(返す)遊はい入てめてたくてこそ存じ候なを(なを)おほしめしより候ぬる御心さしことに(ことに)めでたくうれしく思いまいらせ候よろずは身つから申へく候叉おかしきやうに候ともてんもくになんりやう入て候へしおかしくてなどやそうし候はれ候はぬあなかしこ
    (続呉文炳蒐集手蹟目録・解説)