小林一三(逸翁)
Kobayashi Ichizou

 小林一三(逸翁) 1
 小林一三(逸翁) 2
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作家名
小林一三(逸翁) こばやし いちぞう
作品名
加藤義一郎宛書状
作品詳細
掛け軸 紙本水墨 緞子裂 共箱
本紙寸法48.2 ×18.8
全体寸法(胴幅)56.1×101㎝
註釈

【原文】
新春早々御遠方御奮発
御来遊を得、奉感謝候。
あたりくじ当らぬとの事、
山内神斧君より承ハリ
一笑いたし候。その中御埋
合せ可仕候。形物香合
図鑑一冊入手、時局
柄万御不自由嘱にも
不拘、立派に御大成、万
喜申上候。本日ハ又古
筆切序説補本
到着、うれしく物読
いたし居候。連日仇
用に引まはされ居候
折柄とて、一入うれしく候。
一日も早く此種の興
味ある方面にて優々
自適いたし度、すべて羨
ましき限りにて候。不取
敢御礼申上度、早々以上。
   一月二十二日夜
          一三
 加藤詞兄殿

【訳文】
新春早々、御遠方より思い切って御来遊くださり、を得、感謝いたします。
あたりくじが当らぬという事、山内神斧君より聞きまして一笑いたしました。
そのうち、埋合せいたします。『形物香合図鑑』一冊入手しました。
時局柄、万事御不自由にもかかわらず、立派に御大成されましたこと、
万喜申し上げます。本日はまた『古筆切序説補本』が到着しました。
うれしく拝読しております。連日雑用に追われておりますので、
ひとしおうれしく存じます。一日も早くこのような興味ある方面で、悠々自適いたしたく、すべて羨ましき限りでございます。取りあえず御礼申し上げたく。
早々以上。
   一月二十二日夜
          一三
 加藤詞兄殿

※山内神斧...版画家。『寿々』など。
※加藤義一郎...『形物香合』(昭26)・『古筆切叢説』(昭23)など著書多数。