岡本一平
Okamoto Ippei
- 作家名
- 岡本一平
- 作品名
- 南泉斬猫
- 作品詳細
- 掛け軸 紙本彩色 緞子裂 合箱
本紙寸法40.7×25.4cm
全体寸法58.8×108.5cm - 註釈
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出典は無門関第十四則。無門関は南宋の禅僧無門慧開(1183~1260)が四十八の公案をまとめた臨済禅で最も重視される公案集。
『無門関』第十四則 南泉斬猫
南泉和尚因東西堂爭猫兒 泉乃提起云
(南泉和尚、東西の両堂が猫児を争うにちなみ、泉、すなわち提起していわく、)
大衆道得即救 道不得即斬却也
(大衆、いい得ば即ち救わん、いい得ずんば即ち斬却せん)
衆無對
(衆、こたうる無し)
泉遂斬之
(泉、遂に之を斬る)
晩趙州外歸 泉擧似州
(晩に趙州外より帰る。泉、州に挙似す)
州乃脱履安頭上而出
(州、乃ち履を脱いで頭上に安じて出ず)
泉云 子若在即救得猫兒
(子もし在りしなば、即ち猫児を救い得たらん)頌曰
(頌にいわく)
趙州若在 倒行此令 奪却刀子 南泉乞命 ( 趙州若し在りしなば、さかしまに此の令を行ぜん刀子を奪却して、南泉命を乞わん)(大意)
南泉和尚の(東西の僧堂の)弟子たちが一匹の猫をつかまえて言い争っている。南泉和尚は弟子たちに問う、道は得るにはどうしたらよいか、言い得れば猫を救うが、言い得ねばこの猫を切り捨てる。弟子たちに答えはない。南泉和尚はついに猫を斬る。夕方趙州和尚が帰ってきた。南泉は彼にその一件を話した。趙州和尚は履を脱いで、それを自分の頭の上に載せて出て行った。南泉は言った。もしお前があの時いたなら猫は救え得た。非常に有名かつ難解な公案として知られるものです。どうせ私など猫を救えることなどできやしませんが、禅では、人間というのは一度真に絶対に死ななくちゃならない、徹底的に一度死ななければならないといい、それを「大死一番」というそうです。「猫を斬る」とはそういうことなのかもしれません。