江馬細香
Ema Saikou
- 作家名
- 江馬細香 えま さいこう
- 作品名
- 墨竹図
- 作品詳細
- 掛け軸 紙本水墨 緞子裂 合箱
本紙寸法49.8×130.3
全体寸法60(胴幅)×194㎝ - 註釈
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【原文・読み下し】
圍屋参吾竹 屋(おく)を囲(かこ)みて 呉(くれ)竹(たけ)を参(さん)す
蒙々占歳寒 蒙々(もうもう)として 歳寒(さいかん)に占(せん)す
豈無眞粉本 豈(あ)に粉本(ふんぽん)を真(まこと)にすること無(な)けん
老筆上圖難 老筆(ろうひつ) 図(ず)を上(のぼ)し難(がた)し
己未春日 七十三躯細香併題(印)【現代語訳】
屋敷を取り囲んで、呉竹を混ぜて植えてみる。例年になく寒い今年の春も、大地に根を張り勢いよく葉を茂らせてくれる。素描の粉本(スケッチ画)が仕上がれば、絵(真)にすることなど、どうして難しかろう、たやすく絵に仕立てあげられるというのに、もう老筆の身には、それさえ難しいものよ。己(き)未(び)春日 七十三躯(く)細香併題(へいだい)(印)
(注)
・参(さん)・・まじり込む、まぜて入れる。
・呉竹(くれたけ)・・葉が多くて節の多い「ハチク」の事をいう。元中国の呉地方より移入したのでこのように言う。また「まだけ」のこともいう。
・蒙々(もうもう)・・さかんなる様。ここでは竹が勢いよく茂る様をいう。
・歳寒(さいかん)・・いつになく寒い年のこと。
・粉本(ふんぽん)・・下絵に胡粉を用いて、その上に彩色して絵を描いた、その下絵のことをいう。スケッチ画。素描。(補足)
老いの身にはいつもよりも寒く感じられる春(新年)、寒さに負けることなく茂る竹を見て、絵を描こうとするが、ななななか進まないと、老境の身を詠み上げる。安政6年(1859)の作品。