江月宗玩
Kougetsu Soukan
- 作家名
- 江月宗玩こうげつ そうかん
- 作品名
- 黒田市正(高政)宛書状
- 作品詳細
- 掛け軸 紙本水墨 緞子裂 紫野誡堂箱
本紙寸法55×33
全体寸法59.3(胴幅)×120.5㎝ - 註釈
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【翻刻文】
手前御暇之儀立聞候へとも、
何共御沙汰無之迷惑ニ候、
先日は、文ニて終日申
承忝候、其後諸白大
一樽被賜下候、一両日中
自然爰元へ可被成御立
出候哉、面上ニて可申候、以
一巻不申上候、時分柄別て
忝候、将又(黒田)了清事右衛門佐(光之)殿え
具ニ申、先早々ミせ候へと御申
御口引も能候間、先被罷上候ても
可然候ハんかと存候、委儀ハ面上之
剋可申上候、右之様子了清所へも、
甲州(長興)へも申入候、恐惶不備、
七月十七日 江(花押)竜光院
黒田市正(高政)殿 玉机下 江
【読み下し文】
(追伸)手前御暇(いとま)の儀立ち聞こえ候へども、何とも御沙汰これなく迷惑に候。 先日は、文にて終日申し承り忝(かたじけ)なく候。その後、諸白(もろはく)大一樽賜いくだされ候。一両日中自然爰元(ここもと)へ御立出ならるべく候や、面上にて申すべく候。一巻をもって申し上げず候。時分柄別て忝なく候。将又(はたまた)(黒田)了清こと右衛門佐(光之)殿へ具(つぶさ)に申し、先ず早々み(見)せ候へと御申す御口引きも能(よ)く候あいだ、先ず罷り上られ候てもしかるべく候はんかと存じ候。委しき儀は面上の剋(きざみ)申し上ぐべく候。右の様子了清所へも、甲州(長興)へも申し入れ候。恐惶不備。
七月十七日 江(花押)【文 意】
(追伸)私が御暇(いとま)になることを立ち聞きしたが、何も御沙汰がなく迷惑である。 (本文)先日は、文章をもって終日ご指導いただき忝(かたじけ)ない。その後、諸白(もろはく 酒)大一樽を頂戴し(、たしかに受領し)た。一両日中に、(あなたは)もしや当方へ向け御立出なされるのでしょうか、面会の上で申したい。(文章)一巻をもっては申し上げない。時分柄、とりわけ忝ない。また(黒田)了清こと右衛門佐(光之)殿へ具体的に申し、先ず早々見せよとの御言葉で御感触もよいので、先ずまかり上られても宜しいと存ずる。くわしきことは面会のみぎりに申し上げた。右の様子を了清へも、甲州(長興)へも申し入れた。恐惶不備。
七月十七日 江(花押)