広瀬淡窓
Hirose Tansou
- 作家名
- 広瀬淡窓 ひろせ たんそう
- 作品名
- 詩書
- 作品詳細
- 掛け軸 紙本水墨 緞子裂 合箱
本紙寸法44.7×127.2㎝
全体寸法63.5×193㎝ - 註釈
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【原文】
朝遊雲水暮蒹葭 島嶼洲汀總我家
但使此心無寵辱 何妨一上大夫車詠鶴 苓陽廣瀬建
【訓読】
朝に雲水に遊び、暮に蒹葭。 島嶼・洲汀は総て我が家なり。
ただ、この心をして寵辱無からしめんとす。何ぞ妨たげん、一たび大夫の車に上るを。鶴を詠ず。 苓陽廣瀬建
【訳文】
朝には雲間や水辺を飛び回り、暮にはおぎやあしの茂みに憩う。
小さな島々や中洲は、すべて私の家である。
私はただ、自分の心が名誉や屈辱に左右されたくないのだ。
どうして嫌おうか。仕官して立派な職責につくことを。鶴を詠ず。 苓陽廣瀬建
【注釈】
寵辱―『老子』「寵辱若驚」(世の人は名誉と屈辱に心を動かす)をふまえる。
苓陽―淡窓の号。地名に由来するか。『苓陽詩稿』あり。【鑑賞】
何物にも束縛されず自由に生きる鶴に、自分の姿を託して詠んでいる。
淡窓は生来の病弱故に、早くに仕官の途を断念し、私塾の経営を志した。
しかし、その胸中にはやはり何か鬱屈としたものがあったのだろうか。