宗教の彼方、新たなる地平
混迷が深まるとき、真実を告げる者は、かえって忘却の国に閉ざされることがあります。その声は時代をつかさどる為政者に覚醒を迫る痛烈な言葉を投げかけるからです。しかし、世界がその存在を必要としているならば、人間は衆知を募ってその人物を思い出さなくてはなりません。
修道、教学の研究、発展においては近代浄土宗を代表する偉僧。法然によって開かれた真実の伝統と今を再びつなぎとめるため、宗門の異端者として生きることをいとわなかった改革者。また、市井に生きることから決して遊離しない透徹した布教者。仏教に立脚することで、かえって他の宗教、哲学に開かれていった霊性の巨人。こう書いてみても、この人物の断片を伝えることしかできません。
山崎弁栄は多くの書簡を残しています。そこに、私たちは、この人物の声を聞くことが出来ます。また、各地で行った講話論述は、没後その高弟田中木叉によって編纂され十巻を超える書物として残っています。
また、彼は多くの書と画を残しました。それは余技ではなく講話や書簡と同じく、彼の教導の中核をなす営みでした。
宗教者の「コトバ」―それは衷心の悲願でもありますが―は、必ずしも言語で表現されるとは限りません。彼の書画は、書籍は記録できない、彼が残した「コトバ」です。
今年2010年は、山崎弁栄(1859 ~ 1920)が没してからちょうど90年になります。彼が開いた光明主義に帰依する人々は別に、彼を知る人は現代では決して多くはありません。今、彼の業績は、彼の「遺言」となっています。遺言は読まれ、それが実行されたときに、その役割を果たしたことになります。山崎弁栄の「コトバ」は、さらに多くの人に読み説かれるのを待っています。
本展覧会は、山崎弁栄の書画、さらにその肉声を伝える書簡、彼の思索の現場を垣間見せる草稿、布教活動に用いられたアコーディオンなどを展示し、併せて展覧会図録を発行いたします。
※展覧会の構成については今後変更になる可能性がございます。
主催:弁栄上人展実行委員会
協力:久松真一記念館
後援:光明園 光明修養会 空外記念館 当麻無量光寺 (株)シナジーカンパニージャパン
平成22年10月31日(日) 午後2時~午後3時30分 県民文化ホール未来会館
※定員になり次第締め切ります。入場のご予約、お問い合わせは長良川画廊(事務局)まで。
※山崎弁栄展及びシンポジウムは観覧、入場は共に無料です。
展覧会図録を発行します。ご予約お申込は長良川画廊(事務局)まで、電話、FAX、メールでお願いします。
会期:平成22年12月4日(土)~平成23年2月20日(日)午前10時~午後6時
(12月4日は弁栄上人の入寂の日、2月20日は生誕の日)
休館日:12/19、12/23、12/26~1/10、1/16、1/22、1/23、1/29、2/6、2/19
※会期中、ミニトークなど開催予定。(詳細は決定次第、当サイトにて発表します。)
会場:gallery OUTRE 岐阜市泉町16 山本ビル1F