菅茶山 
Kan Chazan

菅茶山 2
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作家名
菅茶山かんちゃざん
作品名
詩書
作品詳細
掛け軸 紙本水墨 緞子裂 象牙軸 合箱
本紙寸法53.3×22.8
全体寸法66.6(胴幅)×122.5㎝
註釈

【原文・読み下し】
耕夫何必鄙  耕夫(こうふ) 何(なん)ぞ必(かなら)ずしも鄙(ひ)ならん
人主豈皆庸 人主(じんしゆ) 豈(あ)に皆(みな)庸(よう)ならん
世乏崔徐輩 世(よ)に崔徐(さいじよ)の輩(はい)を乏(とぼ)しくす
風雲失幾龍 風(ふう)雲(うん) 幾(い)く龍(りゆう)か失(うしな)はん
晋帥(ときのり)

田を耕す農夫がどうして田舎者ばかりといえよう、中には諸葛亮のようにすぐれた者もいるものだ。また君主とは名ばかりの平凡な君主が多い中で、どうしてすべてが凡才ばかりといえようか。漢を興した劉備のようにすぐれた君主もいるものだ。だが、この世の中、諸葛亮を見出し劉備に紹介した崔(さい)州(しゆう)平(へい)や徐庶(じよしよ)のような連中は、本当に少ない。それゆえ、世代わりの混乱した時代に、世を立て直す埋もれた人物を、幾人も見逃してきたのだ。

(注)
・三顧(さんこ)・・中国の三国時代に蜀漢の劉備が諸葛亮(孔明)を迎入れるために三度訪問した故事に基づき、礼義を正しすぐれた人材を求める意。
・人主(じんしゅ)・・人の上に立つ者、君主、主君。
・庸(よう)・・平凡、凡才のこと。
・崔徐(さいじょ)・・諸葛亮(孔明)の友人である崔(さい)州(しゆう)平(へい)と徐庶(じよしよ)のこと。田を耕し「漁夫の辞」を口ずさむ平凡な男、諸葛亮を誰も評価しなかったが、この二人は早くから亮の非凡な才に気付き、やがて劉備に紹介し、劉備より三顧の礼をもって迎えられた亮は劉備をたすけ中国を統一する。
・風雲(ふううん)・・世の変わり目で混乱した時代。

『黄葉夕陽村舎詩』(文化9年刊)に所収
本紙、表具とも若干の折れとヤケあり。