白隠慧鶴
Hakuin Ekaku
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- 作家名
- 白隠慧鶴 はくいん えかく
- 作品名
- 常念観世音菩薩
- 作品詳細
- 掛け軸 紙本水墨 緞子裂 合箱
本紙寸法14.7 ×66.8
全体寸法24.8(胴幅)×145.5㎝ - 註釈
白隠は「延命十句観音経」を大いに勧め、これを広めた。「観世音、南無仏、与仏有因、与仏有縁、仏法僧縁、常楽我浄、朝念観世音、暮念観世音、念々従心起、念々不離心』というごく短いお経である。経の大意は次のようなものである。
「観音菩薩に帰依したてまつります。仏に帰依したてまつります。我らは仏と同じ因と縁をもっております。それは仏・法・僧の三宝とひとつにつながっている世界です。それは常・楽・我・浄の理想世界です。朝に観世音菩薩を念じ、夕べに観世音菩薩を念じます。その一念一念はすべて偉大なる一心から起るのであり、これを離れては何ひとつありません。」
「常念観世音菩薩」の書は、観音講中(朝念講中ともいった)の仲間に付与したもので、数多く残されいる。
「延命十句観音経」は中国で作られたもの。日本では比叡山の霊空光謙(一六五二~一七三七)によって世に出たともいうが詳細は不明。しかし、白隠がこの経の普及につとめたことによって、ひろく庶民の間に広まったことは確かである。
白隠はこのお経の功徳を説き、諷誦をすすめた『延命十句観音経霊験記』をあらわしているが、その中で、「そのご利益によって、在家の者は家業繁栄し、あらゆる災難を逃れ、万事めでたく暮らせる。そして、出家者が信心堅固にして仏道の淵源をきわめ、そして常に法を説いて人々を利益し、菩薩道を実現できるのも、みなこの経の功徳というものであろう。武士にしても、昼夜に忠勤に励み、武術を鍛錬する間も、つねにこの経文を念じて武運を養い鋭気を増し、主君の政治を輔佐して万民を安撫し、子孫の繁栄、御当家の長久を祈念するならば、これほどの大忠節はないであろう」と述べている。
また、後出〔三三五〕の書簡でも、熱心にこのお経の読誦を勧めている。『白隠禅画墨蹟(二玄社)』解説文より