乃木希典
Nogi Maresuke

 乃木希典 1
 乃木希典 2
 乃木希典 1 乃木希典 2 乃木希典 2 乃木希典 2
 乃木希典 2
作家名
乃木希典 のぎ まれすけ
作品名
詩書
作品詳細
掛け軸 紙本水墨 金襴緞子裂 象牙軸 伊豆凡夫識箱 台差し二重箱
  本紙寸法51.3 ×133.5
全体寸法(胴幅)66.6×220㎝
註釈

所貴於士者以其知時也。
時有勢焉有機焉。勢所推移、機所起伏、非必難知也。
而莫之知者有所蔽耳。唯有識之士能先見之、去利就義去濁就潔。擧世不知而
己獨知之。知之明故決之。果彼之所驚我以爲當然
明治己酉五月十一日 後學 源希典 書

士において貴しとする所はその知る時を以ってなり。
時に勢い有り、機有り。勢いは推移し機も起伏する所なり。
必ずしも知ること難きに非ざるなり。
而して之を知ること莫き者は耳を蔽う所有り。
唯、有識の士のみ能く之が先を見、利を去りて義に就き、濁を去りて潔に就 く。世を挙げて知らざりて己独り之を知る。知ることの明なるが故に之を決 す。果ては彼の驚くところ、我以為へらく当然たり。

(現代語訳)
士太夫が貴ぶ所はその由縁を知った時である。時には勢いがあり、また機も ある。勢いは推移し、機もまた起伏するものである。必ずしもそれを知る事 が難かしい訳でもない。それに気付かない者は耳を塞いでいるだけで、唯、 有識のもののみが先見の明を有し、利を去って義に加担し、濁を逃れて潔に 加担する。世間中が知らない事を自分独り知っており、その知が明白なだけ に、その結果世間が驚くような事も、私には当然の事と思われるのだ。