大村益次郎、橋本雅邦
Oomura Masujirou,Hashimoto Gahou

 大村益次郎 橋本雅邦 1
 大村益次郎 橋本雅邦 2
 大村益次郎 橋本雅邦 3
 大村益次郎 橋本雅邦 4
 大村益次郎 橋本雅邦 5 大村益次郎 橋本雅邦 6
作家名
大村益次郎、橋本雅邦
おおむら ますじろう、はしもと がほう
作品名
詩(大村益次郎)、山水(橋本雅邦)合表装
作品詳細
掛け軸 紙本水墨 金襴緞子裂 象牙軸 合箱
(大村益次郎 橋本雅邦)本紙寸法11.5×23.5
(橋本雅邦)本紙寸法20.8×26.3
全体寸法39×139.5㎝
註釈

【原文】
呉史越人遇浪間
黄昏月出恰如彎
孤鯨岩吧高低涌
能鷺煙遮大小湾
苦歳凶言皆一様
評時勢話是千般
相尋相対絶弓感
不識櫓声波戸辺
蔵六菴主人

【訓読】
呉史越人、浪間に遇(あ)う。
黄昏、月出(い)でて恰(あた)かも彎のごとし。
孤鯨岩吧、高低に涌(わ)き、
能鷺、煙遮ぎる、大小の湾。
苦歳の凶言は、皆一様(みないちよう)。
時勢を評する話は、是千般(これせんぱん)。
相(あい)尋ね、相(あい)対して、絶弓の感。
識(し)らず、櫓声波戸の辺。
蔵六菴主人

【語釈】
呉史越人―呉の人と越の人。「呉越同舟」というように、呉と越は歴代抗争を繰り返した。
彎―彎曲した弓。
孤鯨岩吧―鯨のように巨大な岩。吧は語末の助字。
絶弓感―弓を折り絶つような気持ちか。
波戸―はとば。埠頭。

【訳文】
不倶戴天の敵である呉の人と越の人が浪間で出あった。
たそがれに月も出て、その姿はあたかも彎のように曲がっている。
一つの巨大な岩は、波間に高く低くわきおこり、
鷺が水煙の間を飛び来る、大小の湾内。
つらい歳月の愚痴は、どれも同じようなものだが、
これからの時勢の噂話は、みなそれぞれ違っている。
誰に聞いても、誰に向かっても、ただやるかたない思いがつのるばかりだ。
波止場の船の櫓の音にも気が付かなかったよ。