明治天皇
Meiji-tennou,Emperor Meiji
- 作家名
- 明治天皇めいじてんのう むつひと
- 作品名
- 御製宸翰
- 作品詳細
- 掛け軸 紙本水墨 緞子裂 象牙軸 阪正臣箱
本紙寸法47.5×32.7cm
全体寸法66.4×124cm - 註釈
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オホスタリヤへ賜り候御下書
書 三條西季知卿下也
睦仁くり返しふみ
ふみゝさりせは
天のし書
睦仁くり返しふみ
みざりせは天の下
をさむる道も
いかてしらまし(訳文)
(オーストリアへ賜った書の下書き 三條西季知卿に下された。)
繰り返し書物を読まなければ、天下を治める政道をどのようにして知ることができようか。三條西季知 さんじょうにし すえとも
文化8年(1811)~明治13年(1880)三条西実勲の子。母は三条実起の女。尊皇攘夷派公家で七卿落ちの一人。維新後、明治天皇の侍従となる。三条西家は、藤原氏北家閑院流の正親町三条家の分家で、大臣家(旧家、内々)の家格を有する公家。三条西家の当主は代々和歌に優れ、三條西季知は、明治天皇の歌道師範としても知られる。
阪正臣
安政2年(1855)~昭和6年(1931)知多郡横須賀町に生まれる。号、茅田、樅屋など。和歌を富樫広厚に学ぶ。御歌所寄人、同主事を歴任し、明治天皇や昭憲皇太后の歌集の浄書や、多年にわたって皇族・貴族に歌並びに書を教授する。
明治天皇御集(大正11年、宮内省蔵版、文部省発行)の下、附裁に以下のように所収。
くりかへしふみ見ざりせば天の下をさむる道もいかでしらまし
右墺地利国公使のこひによりて明治十年一月廿日宮内卿徳大寺実則をもて下し賜へる
上記のように、明治10年1月、この明治天皇御製は宮内卿徳大寺実則によってオーストリア公使に下賜された。(明治2年(1869)、日本とオーストリア・ハンガリー二重帝国との間で日墺修好通商航海条約が結ばれ両国の国交が開かれている。)
この《オホスタリヤへ賜り候御下書 三條西季知卿下也》と但し書きの付された明治天皇御製宸翰は、その但し書きの通り、オーストリア公使に下賜された明治天皇御製宸翰の草稿であり、明治天皇の歌道師範であった三條西季知が明治天皇より下賜されたものと思われる。