江馬細香 貫名海屋
Ema Saikou, Nukina Kaioku
- 作家名
- 江馬細香 貫名海屋 えま さいこう、ぬきな かいおく
- 作品名
- 竹筍
- 作品詳細
- 掛け軸 紙本水墨 緞子裂 岩越雪峰箱br />
本紙寸法37×120
全体寸法49×186㎝ - 註釈
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岩越雪峰
明治2年(1869)~昭和24 年(1429)槍の達人といわれた大垣藩士脇水貴一の次男。名、瑛。字、子修。号、聴雪。 兄は地質学の権威、脇水鉄五郎。初め画家を志し、京都画学校から洋画家原田直次郎の画塾鐘美館に学ぶが、脚気を患い故郷。大垣中学に奉職する。明治28年、岐阜県羽島郡笠松町長池の岩越家の養子となるが、大垣に定住する。書を独学で研鑽し、空海、王義之を研究、泰東書道院の審査員となる。また、貫名海屋を慕い、その研究蒐集をした。鑑定の権威としても知られる。
【原文】
鞭笋迸時欲穿石
階前肯揩破蒼苔
嶄然墻角和煙月
早送一聲風韻来
乙卯秋孟琢軒竹詩為
筍庄雅契 菘翁【訓読】
鞭笋(べんじゅん)迸(ほとば)しる時、石を穿(うが)たんとす。
階前(かいぜん)肯(あ)えて蒼苔を揩(はら)い破る。
嶄然(ざんぜん)たる墻角は煙月と和し、
早くも一声を送って風韻(ふういん)来たる。
乙卯の秋孟、琢軒竹詩、筍庄雅契の為に。菘翁【語釈】
鞭笋―鞭のようにしない伸びる竹。
嶄然―多くの中でひときわ目立ってすぐれているさま。
墻角―垣根の角?。竹の子の鋭さの形容か。
煙月―かすんで見える月。おぼろ月。
風韻―すぐれた様子。みやびやかなおもむき。風雅高尚な趣。
乙卯―安政二年(一八五五)、細香六九歳。
秋孟―旧暦七月。
琢軒―未詳。菘翁の軒号か。
筍庄雅契―未詳。菘翁の知人か。【訳文】
鞭のような竹がほとばしる出る時、その勢いは石にも穴をあけるぐらいだ。
階段(きざはし)の前の青い苔はすべてふりはらわれた。
他に抜きんでて立ち上がった姿は、おぼろ月と達するほどで、
早くも竹の葉をわたる風の音が風雅なおもむきをかもし出している。
安政二年乙卯の秋孟七月、琢軒の竹詩を筍庄雅契のため題す。菘翁江馬細香と貫名海屋の合作は非常にめずらしい。安政2年(1855)、細香69歳、海屋78歳の出会い。