安岡正篤
Yasuoka Masahiro(Seitoku)
- 作家名
- 安岡正篤やすおか まさひろ(せいとく)
- 作品名
- 詩書 安藤烝宛書簡付
- 作品詳細
- 掛け軸 紙本水墨 緞子裂 合箱 安藤烝宛書簡付
本紙寸法33.2×139.3㎝
全体寸法49.3×204cm - 註釈
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【釈文】
六帷濯洛十星霜獲病人間復
返々社稷安危公私繫樗材
只只負朝陽 丙子春三月深歳 瓠堂【書き下し】
六帷、洛を濯(あら)ふて十星霜
病を獲たるも人間(じんかん)へ復た返々す
社稷の安危、公私を繫ぐ
樗材(ちょざい)只(た)だ只(た)だ朝陽を負ふ【大意】
六軍が日本の都である東京に多く集まるようになってから、十年の歳月が過ぎた。私はその間に病気を得たが、ようやくにして一般の社会に復帰することができた。今やこの国は安全と危険の間を揺れ動く状況にあり、公も私も、共にこの難局を乗り切ろうとしている。このような時勢の中で、私もまた、凡才ながらも朝日を象徴している日の丸を背負う日本人としての責任を全うしたいものだ。【安藤烝宛書簡釈文】
承復 帰京以来、慶声承以来、式前
以事等にて取紛れ、漸く一安落をつけ
御慶事、御祝に参らんと存居候処、重
ねてのお〓〓〓しき御教信に感入候次
第に御座候。今夜は天に雨を願いて
閑坐、御新家の為、道元禅師の遺誡、
和顔愛語の扁額と小生四十四春の
記念に書帰明四十余年の詩を一枚
認め候。明昼御送り致し置くへく候。
貴書により、小生も年来閑却の河内
〓明の懇情を思ひ出し、昨日あたり
より、月の中、河州へ返り可申、陽春
四月早々御細話果居候 〓〓
三月二十三日 正篤
安藤烝様
硯右昭和11年(1936)の作。