棟方志功
Munakata Shiko(Munakata Shikou)
- 作家名
- 棟方志功
むなかた しこう - 作品名
- 白肌駆妃の柵
- 作品詳細
- 額装 板画 黄袋 布差し箱入 棟方巴里爾鑑定書
シート寸法23.8×26cm(本紙裏打ちなし)
画面寸法16.9 ×18cm
全体寸法45.4×48.5cm - 註釈
-
薔薇見れば薔薇のゑまひ 牡丹に逢はゞ牡丹の威 あやめの色のやさしきに優しく 女人われこそ観世音ぼさつ。柳絮直ければ即ち直く 松厳くしければわれも厳くし 杉いさぎよきに、はた、いさぎよく 女人われこそ観世音ぼさつ。そよ風にそよとし吹かれ 時に、はた、こゝろ浮雲 足裏の土踏むちから 女人われこそ観世音ぼさつ。人のかなしみ時には担ひ よろこびを人に送りて みづからをむなしくはする 女人われこそ観世音ぼさつ。ぼさつ、ぼさつ、観世音 千変万化 円融無碍もて世を救ふ 女人われこそ実に観世音。
(岡本かの子・女人ぼさつ、観音経<三>)
昭和7年(1932)、岡本かの子が『女人芸術』創刊号に発表したこの詩に、棟方志功は、「ふるいつくほど」の感動を覚える。それが作品として結実するのが、昭和27年(1952)、ルガノ国際版画展で優秀賞を受賞した「女人観世音板画巻」であった。これにより棟方は世界的版画家としての第一歩を踏み出す。
「裸軆(ハダカ)の、マッパダカの顔の額の上に丸い星をつければ、もう立派な佛様になって仕舞うんだから、ありがたく忝けないんですね。それが佛様というものなのです。…その額の星が、つくと、付かないので、タダの素裸の女であったり、ホトケサマに成り切ったりするという、大きな世界は、うれしいものです。板畫という大世界こそ、そうしたモンなんです」(板画の肌)
この作品も、棟方のこころを駆けた「女人ぼさつ」。
額の仕立てもお洒落な佳品です。