富岡鉄斎
Tomioka Tessai
- 作家名
- 富岡鉄斎
とみおか てっさい - 作品名
- 西郷南洲相撲図
- 作品詳細
- 掛け軸 紙本彩色 緞子裂 正宗得三郎箱 台差し二重箱
本紙寸法67.9×136.6
全体寸法88.8(胴幅)×215㎝ - 註釈
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【翻刻】
未撓養氣真豪傑
西郷南洲曽語余曰
人不少練體練體所以練心
子見角觝乎膽力剛勇事象
活潑尓興常心別無陀由
平素練體耳全力
□多對而兪力勃副
右之念尓貶驚此之興受得
鉄斎外酔筆(印)【読み下し】
未だ撓(たゆ)まず気を養ふは真の豪傑
西郷南洲曽(かっ)て余に語りて曰く、人少かさず体を練(きた)へよ。体を練ふるは心を練ふる所以なり。子、角觝(かくていを見よ。膽力、剛勇事象活潑に興り、常心別(わき)て陀(くず)るる無し。由来、平素を練ふるのみ。全力(□→争し?)多く対すれば、而ち兪(いよいよ)力勃として副(そ)ふ、と。右の念に貶驚(へんきょう)し、此の興(きょう)受得す。鉄斎外史酔筆(印)【文意】
たゆむことなく気を養い続けるのが、真の豪傑である。
西郷南洲がむかし余に次のようなことを語った。
「人はかかさずに体を鍛よ。体を鍛ることは心を鍛ていく手段でもある。子(あなた)よ、角觝(相撲)を見てみよ。胆力、剛勇こうしたものが活発に興り、常心がくずれることはない。以上であるから、何よりも平素より体を鍛えるのみである。全力で向かい(不明□を争と解した)多くと対戦したならば、いっそう力はムクムクと湧き身に添うのであると。
右の思いに貶驚し(後ずさりし驚く意で、圧倒されることをいう)、この興(すばらしさ)を受け入れるのである。鉄斎らしい堂々たる掛け物。
本紙若干折れがあります。