涌蓮 Yuren (Youren)
享保4年(1719)~安永3年(1774)
伊勢国河芸郡黒田村(津市)に生まれる。名、慧亮。真宗高田派の僧。初め江戸桜田の澄泉寺に住む。和歌を冷泉為村に学ぶ。嵯峨に隠棲し、嵯峨居士と号した。
(近世畸人伝より)
僧涌蓮は伊勢の人、高田派の僧にて、江戸院家地に住職せるが、高僧伝を見て頻に感発し、病に堪ざるよしの一封書をとゞめ、草衣にあらため、忍びてひとり京へ登り、生嶋なる人の仮初なる物見の亭に潜みしが、後は嵯峨のこゝかしこに住り。生涯一物もたくはへず。明暮念仏するいとまには歌をよめりしに、歌書一まきをだにもたらねば、詞を荘ることもなく、おもひにまかせたるが、かへりて真率人の及ぬ所ありき。今記得たるをはつかに挙。
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