保立道久
昭和23年(1948)~
東京大学史料編纂所名誉教授。専攻は日本中世史。
【原文】
以上
貴札本望至極ニ候
如仰今度者参候処ニ
種々御馳走とも
不始于今満足申候
若爰元於御上者
可預御尋候、尚
期面上之節候、恐惶
謹言
小遠江守
八月二十二日 政(花押)
弘首座老
御報
【現代語訳】
お手紙をいただき、本当に有り難うございます。
仰せの如く今度は参じたところ、種々の御馳走もいただき、初めてこんなにも満足いたしました。私と御上においては、預かることが出来るかお尋ねされましたが、尚またの機会に直接面会出来ればと思います。
小遠江守
八月二十二日 政(花押)
弘首座老
御報
【解説】
遠州から弘首座宛のお礼、ならびに次回の面会の約束の手紙。
文中にて「可預云々」とあるが、例えば茶道具や或いは用件などか、具体的に何を示して預かる云々であることかは不明。(当時は文中に重要な用件は書かず、従者が口上にて伝えることが約束であった。)
弘首座に関して詳細は不明だが、沢庵和尚が寛永18年(1641)に弘公首座へ送った手紙が東海寺に存在することから、おそらく寛永頃の高僧であった人物と推測される。
本紙、ウブなり、経年の傷みあり。