開軒南嶽下 軒を開く南嶽の下
世事未曽聞 世事未だ曽て聞かず
落葉常疑雨 落葉は常に雨かと疑い
方池半是雲 方池は半ば是れ雲
偶尋騎鴨侶 偶々尋ねて鴨の夫婦を□し
來此看鴻群 此へ来て鴻の群れを看る
一夜潺々裏 一夜潺々の裏
秋光得細分 秋光細分を得る
書于寒河江客舎悟竹
新しく南嶽の下に家を築く
ここでは俗世間の雑事を聞くこともない
落葉の音がいつも雨のように聞こえ
四角の池は雲が浮かんでいるよう
池畔に寄れば番の鴨を
此へ来て鴻の群れを見る
夜はさらさらと水の流れる音がして
水面には秋の月光が煌いている
本紙に若干ヨゴレあり。