【和歌】
癸巳九月十二日歳の落
けるにはや残るかずすく
ななれば
木葉ちる秋の日数も
諸法にのこりしすくなき
身の齢とや
和歌は安永2年(1773)の年紀(癸巳)あり、慈雲56歳。慈雲の頂相は、画中「慧雲」の印があり、添え状にも「慧雲律師謹画」とあるが、「慧雲」の詳細については不明。頂相は、『二百年遠忌記念 心の書 慈雲尊者』(大阪市立美術館、佐野美術館)所収の山本義照筆慈雲頂相(図5)と酷似しており、画の筆者は、慈雲の弟子で、山本義照の周辺の人物、あるいは山本義照本人と思われる。
山本義照‥因幡守の家臣で山本健次郎儀照といい、環月と号した。慈雲の肖像を多く描き、慈雲高弟の一人明堂諦濡より「最も能く老大和上の尊影を写す」と評された。(『心の書 慈雲尊者』解説より)
慈雲頂相、慈雲遺墨の優品。
表具はすこぶる粋で、本紙の状態も良い。