てりもせすくもりもはてぬはるはるのよのおぼろつきよにしくものぞなき
(照りもせず曇りも果てぬ春の夜の 朧月夜にしくものぞなき)
みつのおもにあやおりみだるはるさめや山のみどりをなへてそむらん
(水の面に綾織り乱る春雨や山の緑をなべて染むらん)
いそのかみふるきみやこをきてみればむかしかさししはなさきにけり
(いそのかみ古き都を来て見れば昔かざしし花咲きにけり)
わかこころはるのやまへにあくかれてなかなかしよをけふもくらしつ
(わかこゝろ春の山へにあくかれてなか/\し日をけふもくらしつ)
よしのやまこそのしをりのみちかへてまた見ぬかたのはなをたつねん
(吉野山こぞの枝折りの道かへてまだ見ぬかたの花をたづねむ)
美品。