雪壓笠檐風卷袂
呱々索乳若爲情
他年鐵拐峰頭險
叱咜三軍是此聲
星巌真逸題
雪は笠檐(りゅういん)を壓(あっ)して風は袂(もと)を巻く
呱々(ここ)乳を索(もと)む若為(いかん)の情ぞ
他年鉄拐(てっかい)峰頭の險
三軍を叱咤するは是れ此の声(けん)
雪は(常盤御前)の笠のひさしを押しつけて、風は着物の袂を巻き上げる。
乳を求めて泣く子は、どんな思いであろうか。
しかしあの日、鐡拐山の断崖を駆け下り、
先陣を叱咤するのはこの(源義経の)声だ。
※梁川星巖は九州への旅の途中、尾道の平田玉蘊の家に立ち寄り、玉蘊の描いた「常盤御前」の絵にこの「常盤雪行」の詩を賦した。「芳野懐古」とならび賞される星巌の名詩である。
本紙、僅かにヨゴレあり。