【原文】
尚々
木からしや
日に日に鴛の
うつくしき
といひ遣。
唐紙送り被下
忝奉存候。此方にハ
よき帋なし。
大ニ嬉しく候。
画の事、余も
はいかひの画なれハ
数々ハなし。只
菊松竹
山なと、二三
かきほほへ候事(書覚候事)
のミにて候。いつ
かき候ても外の
ものなし。是のミ
なり。同しもの
又したゝめ進
上候。以上。
十一月十二日
士朗
新二郎様
【訳文】
尚々、木からしや日に日に鴛のうつくしき、といひつかわしました。
唐紙を送っていただきかたじけなく存じます。こちらにはよい紙がありませんので、大変うれしく存じます。絵の事は、わたしも俳諧の絵ですから、数々はありません。ただ菊・松・竹・山など、二三の画題を書きおぼえているだけです。いつ描いてもほかのものはありません。是だけです。同じものをまたしたためまして進上いたします。以上。
十一月十二日
士朗
新二郎様