吉野山の桜と吉野時代(南朝)の往事に思いを馳せて詠った漢詩を「芳野懐古」といい、そのなかでも、梁川星巌、藤井竹外、河野鉄兜の「芳野懐古」を芳野三絶という。
山禽叫断夜寥寥 山禽叫び、断へて夜は寥寥たり
無限春風恨未鎖 無限の春風、恨み未だ鎖(き)えず
露臥延元陵下月 露臥す延元陵下の月に
満身花影夢南朝 満身の花影南朝を夢む
山の鳥の鳴き声も絶えて夜はひっそりとしてもの寂しく、尽きることもなく吹く春風に怨みは今だ消えることがない。月の下で延元陵に伏せ、満身の桜に南朝の夢みる。
延元陵…後醍醐天皇の御陵
本紙全体に、ヤケ、小折れ。