【原文】
揮毫約来催促忙
主人善忘客不忘
今宵渋々執禿筆
向紙無奈尚面堂
丁酉春三回条治金主人記
【訓読】
揮毫、約来、催促に忙し
主人善く忘るるも客は忘れず
今宵、渋々と禿筆を執る
紙に向かうもやむ無し、尚を面堂
丁酉春、三回条治金主人記す
【訳文】
揮毫の約束をすると、その催促で忙しくなる。
主人はすぐに忘れるが、客は忘れていない。
今宵、渋々と禿筆をにぎる。
紙に向かうのもやむを得ないが、なんとも面倒なことだ!
明治三十年(1897)丁酉春、三回条治金主人記す。
本紙、僅かに小折れ。