日本人の持つ美意識の結晶ともいうべき掛け軸。日本人の創造した優れた美術の多くは、掛け軸という表現様式に託され、さらにその輝きをまして、今を生きる私たちに感動と喜びを与えてくれます。また、それは、故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知ることでもあります。長良川画廊は、近世、近代書画専門の画廊として、日本の貴重な文化遺産である掛け軸を中心に、選りすぐりの作品をご紹介をするとともに、鑑定、評価、買い取りなどのご相談にもお答えしております。
《わたしたちが失いつつあるもの》
日本人に受け継がれてきた『学びのこころ』
日本に最初の中央集権国家が生まれる飛鳥・奈良時代以降、外来文化である仏教と儒教は、日本の学問の中心となり、日本人の精神的規範となって日本の文化に深く浸透していきます。また、一方には、遙か神々の時代より、自然の営みに寄り添い、自然に溶け込んで生きる、日本人固有の自然観、死生観があります。日本の豊かで多彩な優れた文芸はそうした歴史的背景、精神風土の下で育まれてきました。また、そこには、学芸を尊び、「学びのこころ」を大切にした古き日本人の姿があります。
『学びのこころ』にふれる今月の一点
清朝末期の代表的碩儒、張廉卿に書法を学んだ、異端の書人。
《ふりかえると、私が初めて宮島先生を代々木の私邸にお訪ねしたのは、昭和十年の秋であった。先生は七十歳、私はまだ三十歳をようやく越えたにすぎない若輩である。当時、成蹊学園の教員をしながら、すでに私は書家となることを志していたが、先生が書家を嫌っておられることを初めて知った。先生はあくまでも学者であり、思想家であり、真の国士であった。弟子をとるでもなく、人に見せるでもなく、全く自己に沈潜せんがために筆を執るのが、宮島先生の書であった。あるとき、私が展覧会出品を意図していることをふと漏らしたところ、先生は心もち表情を変えられて、自分の人格がこんなに立派だと君は人に見せることができるのか、そんなつもりで君は私を訪ねたのかと、静かに説諭された。静中に秘められたそのときの迫力を、私はいまだに忘れることができない・・。 続きへ 》(上條信山)
岐阜・郷土の先人遺墨展
会場・長良川画廊、ギャラリーウートレ
平成21年1月10日(土)〜1月15日(木)
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