時節因縁仏性。刹那、前後円成、但自長時退歩、乳中之酪文明。
時節因縁(じせついんねん)は仏性(ぶつしょう)なり。刹那(せつな)、前後円成(ぜんごえんじょう)す。但(た)だ自(みずか)ら長時(ちょうじ)に退歩(たいほ)すれ ば、乳中(にゅうちゅう)の酪(らく)、文明(ぶんみょう)なり。
〔訳文〕 仏性とは時節因縁(じせついんねん)である。その時その時に現れ、前にも後ろにも完全に現われている。ただこの道理を自分自身に回向返照(えこおうへんじょう)してよくよく参究すれば、牛乳は牛乳として、酪は酪として、それぞれ仏性であることがはっきりする。
〔語義〕 時節因縁‥時節が到り因縁。熟しすること。道元はこれを未来に望異説、現にいま、自刹は到っており、因縁は熟しているとみる。「いわゆる仏性をしらんとおもわば、しるべし時節因縁これなり」(「正法眼蔵・仏性」)
(「atusisugoiのblog」より引用)美品です。