【原文】
当月朔之御状、御子息
清三郎殿御のほりに
当五日到来、殊ほし
白魚一折、送被下候、
忝候。其元御無事之
様子承、珍重存候。
然者、あらミノ茶入十五
御のほせ候。内壱つ、よく候。
袋申付進候。残り
茶入ともいつれも返し申候。
松平主殿頭殿へ、定而
近日御暇にて、御上洛
たるへく候。御見廻
なからニ少々御のほり
待申候。
一、爰許御宝焼申候。
茶わん壱、水さし壱
進入申候。可入御気者
不存候。
一、御息清三郎殿え
懸御目申候。爰許之
事、可有御物語候、不
具候。恐惶謹言。
金森
三月二十七日 宗和(花押)
永田専斎様 御報
【訳文】
当月朔日のお手紙を、御子息の清三郎殿が御上洛でご持参くださり、
当月五日に到来いたしました。特に、干し白魚を一折、お贈りくださいまして、
かたじけなく存じます。そちら様も御無事の御様子で、結構に存じます。
さて、新しい茶入を十五個、お持ちくださいました。
その内の一つは、よくできておりますので、袋をおつけしました。
残りの茶入は、すべてお返しいたします。
松平主殿頭殿からは、きっと近日に御暇をいただき、御上洛なさると存じます。
御見廻りもかねてちょっとお立ち寄りをお待ちしております。
一、こちらでは御宝を焼き申しました。茶わん一つと、水さし一つを進呈申します。お気に召すかどうかわかりませんが。
一、御息の清三郎殿へはお目にかかりました。こちらのこともお話くださいますでしょうから、詳しくは申しません。恐惶謹言。
金森
三月二十七日 宗和(花押)
永田専斎様 御返事