以下は、一燈園の唯一の信条として纏められた「光明祈願」五項の内の第二項である。
《諸宗の神髄を礼拝し、帰一の大願に参ぜん》
外古今諸宗の神髄を礼拝すれば、一の大願は左の如くなるべし
通願 皆倶成就大円覚
別願 将来世界真平和
別に一宗を立てず、単に一派に偏らず、古今聖者の光を仰ぎ徳を頌し、その遺されたる事業を成就せんことを記す。
西田天香はこの「光明祈願」五項の内の第二項《諸宗の神髄を礼拝し、帰一の大願に参ぜん》の《帰一の大願に参ぜん》について、著作『光明祈願』の中で次のように述べる。
帰一とか大願とかいうことについては、ここでは特に説明はしませんが、その次の、
通願 皆倶成就大円覚
別願 将来世界真平和
これは皆ともに、大円覚を成じたい、世界の真平和を祈りたいという、文字の上に現れたとおりでありますが、これは、どうか私の病気を治してもらいたいとか、家の赤字が消えますようにというような事を願うのとは、大分調子が高い。それで''帰一の大願''というのでございます。
この中には、自分の病気を治してもらいたいとか、息子が出世するようにというような、そうした事に類するものは一つも書いてはございません。うちには、そんな願いは一つもない。家も名誉も財産も捨て切って、女房も息子も娘も共々に無一物になり切ってしまうのでございますからね。もちろん、それが本当の幸であるということを信じ切っての上のことでございます。
無一物といっても、現にこうして雨露を凌ぐ家を預けられており、病気といえば薬に養生物にと勿体ないほどの扱いを受けますし、また皆様で ― 自分で旅費つかって会費払って来ていると思いなさらぬように、皆様の尊い発心に対して、どうぞこれをその費用に充ててくれと、道を求めて家を出られる後から必要な財物を供えられた、と解釈して頂きたい ― 許されてこちらにおいでになって、お互いにこうして何不自由なく五日間を暮らさせてもらえますし、無一物でありながらそのまま無尽蔵なので、これが一番幸いなのであります。(続く)
本紙に若干折れあり。